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連載コラムColumn

(交通事故2)治療費と症状固定

 今回のテーマは治療費です。治療費の中でも病院での治療費についてお話しします。
 「病院での治療費なら全額認められて当然だ」と思われる方も多いでしょうが,事はそんなに簡単ではありません。医師のもとで治療を受けていたのに,治療費の一部が認められないという場合もあるのです。
治療費の請求が認められるか否かを決定するのは,「症状固定」という概念です。治療費は,この「症状固定」の時点までのものしか認められないというのが損害賠償上の原則です。
 「症状固定」については,『労災補償障害認定必携[第15版]』67〜68頁に「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」という。)をもってしても,その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で,かつ,残存する症状が,自然的経過によって到達すると認められる最終の状態」と記載されています。
 これを簡単に言うと,「症状固定」とは,治療を続けてもそれ以上傷病が良くならない状態のこととなります。「症状固定」になると,それ以上は良くならないというわけですから,当該傷病は「後遺障害」として扱われることになり,「後遺障害逸失利益」「後遺障害慰謝料」が問題となります。
 「症状固定」というのは,法的な概念ですので,最終的な判断者は裁判官です。裁判官は,医師の見解を重視しますが,必ず医師の見解に従うというわけではありません。
 医師にとって怪我や病気というのは,治るか治らないかというものであって,症状固定という視点はあまりありません。患者が望むのであれば,治療につきあってくれます。
 しかし,損害賠償という法的な問題においては,被害者が望む限り加害者は治療費を負担しなければならないとすると,加害者の負担が過大なものとなってしまいます。そこで,紛争を解決するための基準点として,「症状固定」という概念が必要となってくるのです。
 この「症状固定」の時期が争われることがとりわけ多いのが「頚椎捻挫」,いわゆる「むち打ち症」です。保険会社は,事故態様や医師からの聞き取りをもとに,3か月や6か月で治療費の支払いを打ち切る旨の対応をとることが多くあります。
 同じ頸椎捻挫であっても,被害者ごとに適切な症状固定の時期は異なります。保険会社の言う打ち切りの時期が適当な被害者もいますが,そうでない被害者もいらっしゃいます。このあたりは,具体的事情によりますので,お気軽に弁護士に相談いただければと思います。


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